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もともとつらつら思考録

高校3年生が日に思った事とかを書く(主に読書記録)

『日本の難点』を読んで:インフルエンザより厄介な感染

本の感想

  ブッコフで50円で買えたのが申し訳なくなるようないい買い物だった。だが万人に勧められるような良い本ではない事は確かだ。Amazonのレビューにも見られるように、著者である宮台真司氏の鼻に付く自慢話も多々ある(あとがきの「本書の全体を読み通すと、叙事詩ギリシア悲劇を通読したような、あえて言えば文学的な印象を与えるはずです」という言葉には、一周回って大笑いさせられた)。だがこの偉大な叙事詩、悔しいがもう一度読み返したくなってしまう。彼の語る概念でいう"感染"に、すっかりあてられてしまっているのだろうか。


日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)


  2009年時点の時事問題を扱っているが、そこまで色褪せてはいない。むしろ解決されずに悪化している問題も多々ある。その問題に対する彼の処方箋には、毒気が混じっている。


  彼の語る概念に"感染"というものがある。スゴイ奴に触れた時に衝動的に真似てしまう、といったものだ。彼はこれこそが真の早期教育たりうると述べる。この字面だけ見ると何を言っているんだと思うだろう。だが実際にこの本を通読して、やられた奴らは、この"感染"こそが真の早期教育なのだと考えるだろう。実際に彼に"感染"したのだから。


  なんだか散々この本を厄介なもののように書いたが、僕自身も感染したしこの本は良い本であると思う。だからこそこの本が前書きで述べている「社会の底が抜けている」ということ、つまり現代というのは確かなことなど何もない恣意性の時代であることを忘れてはならないと思う。彼の言論は優れているが、彼の言論が全て正しい訳ではないのだ。"感染"もそこを履き違えればおしまいだ。