もともとつらつら思考録

浪人生が日に思った事とかを書く(主に読書記録)

また読書と知識の話

東京に行くと、大きな書店へと行くのがすっかり慣習になってしまっていた。御茶ノ水三省堂書店、新宿の紀伊国屋、渋谷のジュンク堂書店などなど様々だが、行くたびに、ここにある本をすべて読むことは絶対に出来ないのだなと感じる。むろん、アレクサンドリアアッシリアに置かれた図書館の時代から言われていたことだろう。だからこそ、人は良書を求める。悪書を読むことはすなわち、良書を読む機会を失うことに他ならないから。


ならば何を読めばいいのだろうか。この途方も無い量の本の海で生き抜くための、羅針盤と地図は誰が与えてくれるのだろうか。


古典を読めばいいという人・本は多いがこれは正しいのだろうか。『国富論』は、『プロ倫』は、『エミール』は、『詩学』は現代社会で通用するのか。NOじゃないだろうか。科学、宗教、哲学その他諸々様々なことが近現代には変化が見られた。少なくとも戦後に書かれた本でなければ、知識の有効度は薄い気がする。


ではその戦後に書かれた本の中で何を読めばいいのか。そこが非常に難しい。前回の記事で書いた様に、著者の背景に目を向けるにしても、戦後だと評価が定まっていない。学問の細分化により専門書の量が増え、初めの一歩が難しい。極め付けは、入門書の粗製濫造だ。歴史、英語、経済の入門書の棚を眺めると眩暈がしてくる。


我々高校生はオススメ本リストを常に求めている。塾の先生にオススメ本リストを尋ねると、「僕の時代から徐々にそういう物が消えつつあった。デカルト、カント、ショーペンハウアーが古典の王道とされているくらい。多分、何でも読んで、その上で全てを知ることはできないって意識して、傲慢にならないことが大事なんだよね」と。うーん、困った。無知の知は時代を超えて通用するようだ。古典の中でもソクラテスは読んだ方が良いのかもしれない。


国家〈上〉 (岩波文庫)

国家〈上〉 (岩波文庫)