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もともとつらつら思考録

高校3年生が日に思った事とかを書く(主に読書記録)

機関銃の社会史を読んで:何が人を殺すのか

機関銃の社会史 (平凡社ライブラリー)

機関銃の社会史 (平凡社ライブラリー)

題名に反してかなり万人向け。著者、ジョン・エリスは、この本を「軍事技術の歴史においては、特定の社会集団に共通の願望や偏見が、性能という直接的な問題に劣らず、重要であることを示す本」であるとしている。

機関銃の誕生日を厳密に決めるのは難しい。最初の"実用的"な機関銃は、1861年、アメリカ人のガトリングが発明したものだと言える。機関銃は南北戦争・植民地戦争で使われたが、一躍有名になったのはWWⅠでの大活躍だろう。当時イギリス首相のロイド・ジョージは、死傷者の80パーセントが機関銃によるものだと発言している。これは軍のトップに巣食う、時代錯誤の英雄・精神信仰によるものも大きいのだが、機関銃の殺戮能力の高さが画期的だったことはごまかせない。

さて、ここまでの機関銃をめぐる人間の精神的歪み(過剰な保守思想・人種差別など)も十分面白いのだが、それで終わらないのがこの本の面白いところだ。

【ガトリングはこうした武器が『大隊の必要性に取って代わり、その結果、戦闘や疫病に苦しめられる人間の数が減るだろう』とさえ言っている。】p.35

オッペンハイマーも戦争をしなくなるだろうという考え方で原爆開発チームを指揮していた。毒ガスを最初に開発したフリッツも似た様な考え方だった。

戦争は人類の進化の歴史の必要経費だと言う人がちらほらいる。確かに科学技術にかけてはそうかもしれない。しかし、その様な発言をする人間が存在する時点で、人類の精神は近代、中世からなんら進化していないのだ。

この本の1番のメッセージは技術信仰に対しての警鐘だ。いずれ日没までがネオンになっても、それに向かって意気揚々と歩き、その日没と共に人類も沈んでいきかねないとジョン・エリスは述べる。

機関銃は、赤外線は、核は、人間の暮らす社会をどんな風に変えてきたか。

インターネットは、ドローンは、そしてまだ見ぬ新しい科学技術は、僕たちの暮らす社会をどの様に変えていくのか。そしてどう変えてはいけないのだろうか。